2003年4月16日(水)17:18

EU加盟国は将来像会議の憲法策定作業に猶予を与えず

アテネ(ロイター)

欧州連合(EU)加盟国の首脳は、初のEU憲法の草案提出のタイムスケジュールを順守するよう求めた。

水曜日EU拡大条約調印の首脳会議の席で、各国首脳はEU改革会議(=将来像会議。訳注)のヴァレリー・ジスカールデスタン議長に対して、6月末にテッサロニキで開かれる次のEU首脳会議までに憲法草案を発表するよう求めた。欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長とドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は、憲法の基本的事項に関して加盟国間に広範な意見の一致があることを協調した。しかし将来の権限分割をめぐるEU大国と中小国の対立はあらためて浮かび上がった。加盟国および新規加盟国の中小18ヶ国の首相は、大国の計画に対して批判を行った。

協議を終えたフィッシャー外相は、半年任期の輪番制EU議長制度を廃止し、長期任期の議長制度を導入するという案について、おおむね合意が得られたとしている。しかしオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は他の多くの中小国同様、輪番制議長制度の廃止を拒否しており、長期任期の議長制を検討できるのは専門の閣僚会議についてのみであると述べた。

ドイツとフランスなどが提案した一名のEU外相についても広範な支持が得られたとフィッシャー外相は述べた。ジスカールデスタン議長もこれについて「ほぼ意見の一致」を見たとしている。だがフィッシャー外相は、将来の欧州委員会の規模については依然見解の相違があることを認めた。しかし妥協点は見出せると外相は語った。

しかしEU小国は欧州委員会の規模についてもあらためて批判を行った。現在は各加盟国が最低1名の委員を欧州委員会に送っているが、10ヶ国もしくはそれ以上の新規加盟国が加わった後もこの原則に固執するならば、EUの中枢である欧州委員会の機能は麻痺する、とEUの大国は危惧している。委員会の規模を制限すれば、とりわけ中小国から委員が送られない事態がしばしば生じる可能性がある。そうでなくともEUの決定に対し影響力の限られている小国は、規約で不偏独立が定められている欧州委員会内に代弁者を送る権利を放棄する意思はない。

首脳会議開始前の朝、18ヶ国の中小EU加盟国は会合を開き、ルクセンブルクのジャン・クロード・ユンカー首相を中小国の利益を代弁する代表に選んだ。

しかし中小国の批判に対するジスカールデスタン議長の反応は冷淡であった。ポルトガルのドゥラン・バローゾ首相が、将来像会議は多くのEU加盟国の意思に反する行動をとってはならないと議長を批判すると、外交筋によれば、「加盟国の数も大事だが、その人口も数えねばならない」。人口で計れば、大多数のEU市民は安定的なEU議長制度を支持している、と議長は答えたという。105名の将来像会議メンバーによるEU憲法草案は首脳会議での提案の後、EU加盟国の政府間協議の決定に委ねられる。

原題:EU-Staaten geben Konvent nicht mehr Zeit fuer Verfassung




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